なぜではなく、どんなふうに
- 人種差別 (28)
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よくこれほどまでのテーマ、人種差別、民主主義の危機、アメリカの偽善、LGBTQ、家族など、重層的に盛り込み小説にしたと感心しました。イタリア人として生まれ、アメリカで生きている著者のアメリカ合衆国への愛憎が筆を取らせたのでしょう。 | ||||
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本書『なぜではなく、どんなふうに』のタイトルは、奇妙です。 なにが、どうなのか、主語と述語が無いからです。 なにが、どうなのか、はなぜか、だったらわかるんですけれど。 本書第四章の題名も、「なぜではなく、どんなふうに」です。 第四章は、こんなふうに 始まります。 「もし誰かに『なぜ』と問われたら、ブルーナはこう答えていただろう。『なぜかは説明できない。話せるとしたら、どんなふうにかだ』と」(109頁) ブルーナは、主人公の女性。 イタリア系アメリカ人。大学の教員。医師の夫トムとの間に、娘と息子がいる母親です。 夫には「隠れた愛人」(294頁)がいました。 夫「トムが家を出ていったとき」(295頁)、ブルーナは「四十二歳のシングル」となります。 ブルーナは、ユヌスという教え子の大学生の子を妊娠しています。 「二十歳の愛人」(172頁)が聖戦(ジハード)のためにイラクにたった後に妊娠に気づきます。 「彼女はその妊娠を、ユヌスがクジラのお腹から脱け出して自分のお腹に入ってきたように感じていた」(294頁) 「僕」(ユヌス)は、聖戦(ジハード)の正義のためにイラクのモスルに旅立ちました。 やがてユヌスとの間の子である男の赤ちゃんが生まれ、「ヨナ」(296頁)と名付けられます。 「ヨナ・ブラウン・ビアンキ」(296頁) 本書は、ブルーナという女性の愛と救済の物語です。 「ブルーナ、君の愛は世界を救うことができるんだ」(256頁) 「ブルーナは自分の人生に重要な役割を果たしてきた男たちについて考えた。父親、夫、愛人、息子。四人それぞれの生き方と、男としての在り方。父親は揺ぎなく、夫は不安定。愛人は奥深い謎で、息子は発見の連続。ブルーナは四人をそれぞれに愛したけれど、一人として深くは理解できていなかったのかもしれない。だが、それでよかったのだ。愛することと理解することはまったく別なのだから」(296頁) 男たちを愛することはできたが、理解することはできなかった女性ブルーナ。 そして、巻末。 「なぜではなく、どんなふうに、しかわからなかったブルーナへ」(300頁) という献辞で本書の物語は終わります。 ユヌスの親友のモハメドが届けてきた『アメリカン・ゴシック』というタイトルの 手書きの原稿の最初のページに書かれていた献辞です。 本書の原題は、「GOTICO AMERICANO」 『アメリカン・ゴシック』という意味のイタリア語です。 日本語訳本の『なぜではなく、どんなふうに』というタイトルは、意訳です。 意訳というより、 本書のなかの第四章の題名「なぜではなく、どんなふうに」をそのまま、本書のタイトルにしています。 ブルーナは「関係がどうして始まったのか、彼女は憶えていない。正確には、『どんなふうに』始まったかはわかるが、『なぜ』かはわからないと言う」(171頁) 愛の関係に、なぜ、どうして、という理由はわからないものでしょう。 本書最初のページのエピグラフ(献辞)は、 「私の子供たちに / いまだにクジラの腹のなかで暮らしている A・J に」 捧げられています。 「A・J」って、誰なんでしょう? 男でしょうか。 この本の第一章「三層の闇のなか」は、 母親ブルーナが息子のマリオが寝つく前に聞かせる物語で始まります。 クジラの胃袋の闇、海の闇、そして夜の闇という「三層の闇」 表紙カバーの装画は、藤井紗和さん。 本書の内容を要約したような素敵なイラストです。 中央にクジラ。巨大なマッコウクジラ? 左下に、赤ん坊を抱く女性と丸テーブルの上の手書きの原稿。 ヨナを抱くブルーナでしょう。そして、手書きの原稿は『アメリカン・ゴシック』の原稿。 クジラの向こうには、イスラムの国へ立ち去る青年の後ろ姿が見えます。 右下には、ニューヨークのシルエットがあります。 「なぜ神は、ライオンの洞窟のなかから預言者ダニエルを救い出し、クジラの腹から預言者ユーヌスを救い出したというのに、すべての人間を救わないのか」(304頁) マリアのような母親ブルーナはすべての男たちを救う。 | ||||
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