オススメ?ダメダメ? 推理小説(ミステリ)について読書管理や感想を書いていく書評サイトです。 はじめての方はこちらからどうぞ。 サイトの要望はこちらからどうぞ。
2026年度雑誌ランキング
会員機能
その他
テスト稼働中自由に遊んでみてください!
書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点10.00pt
絞込み:
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
No.6
占星術殺人事件
島田荘司
占星術殺人事件の感想
No.5
魍魎の匣
京極夏彦
魍魎の匣の感想
No.4
新世界より
貴志祐介
新世界よりの感想
No.3
時計館の殺人
綾辻行人
時計館の殺人の感想
No.2
十角館の殺人
十角館の殺人の感想
No.1
殺戮にいたる病
我孫子武丸
殺戮にいたる病の感想
不可解な章題から記される奇怪な手記。アゾート幻想に囚われた狂人の手記だ。
この文章から始まり、物語は探偵・御手洗潔の推理に移る。言及されることは少ないが、本書の面白さには御手洗の推理の豊富さと突飛さにあると思う。到底ありえないような推理を導き出し、それを正しいと疑わない御手洗の姿勢とキャラクターは、謎の不可解さに適合している。
問題となる謎、四十年間解明されることのなかった処女六人バラバラ殺人の謎の不可解さも魅力的である。誰かが、ミステリに必要なのは不可解な謎だと言った。まさに本書における謎は不可解。解明は不可能ではないかとすら思わせてしまう著者の手腕は相当のものだ。
御手洗のキャラクターが特筆されやすいが、忘れてはならぬのが助手・石岡の存在だ。彼は御手洗の推理に手を貸すなんて野暮なことはしない。探偵を置いて、彼自身が彼なりの推理を展開し、捜査を行う。よく考えればこれはなかなか斬新な試みだ。助手が助手のまま完結するのではなく、探偵であろうとする。これは石岡の西壁を如実に表している上に、物語における明らかな重要な要素だ。
ATHOS。アゾート。もしくはアゾースとも云う。
錬金術における賢者の石を示す言葉だ。全ての始まりを意味する「A」の文字の後ろに、ヘブライ語、ラテン語、ヘレネス語の最後の文字を加えた言葉。それがATHOS。
この言葉の成り立ちに符合するように、物語の序章と終章には奇妙な、そしておそらく恣意的な合致がある。アゾート幻想という一つの軸を取り巻くように展開する事件の存在。そしてメタフィジカル的な観点から見た時に感じる合致。著者・島田もなお、アゾート幻想に囚われていたのかもしれないと思わせる。
ATHOS。賢者の石。それは錬成における触媒。
著者のアゾート幻想は、それ自体を触媒として、感動と衝撃を錬成した。
驚くべき錬金術師だ。島田荘司。