■スポンサードリンク


火の接吻



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

火の接吻の評価: 4.67/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.67pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(4pt)

雰囲気を楽しむ小説

サスペンスフルなところもあるのだが、ダレ場もあるし、
文章も巧いところもあれば、拙いところもある。
『大いなる幻影』の圧倒的な面白さに比べれば、
「そんなに何カ国語にも訳されるような作品かなあ」
と思わないでもない。

『大いなる幻影』のセルフパロディや、
江戸川乱歩へのオマージュ的な表現も出てくるが、
おしなべて雰囲気を楽しむ小説という気がする。
火の接吻 (扶桑社文庫 S 3-1)Amazon書評・レビュー:火の接吻 (扶桑社文庫 S 3-1)より
4594030270
No.2:
(5pt)

著者の珍しくもまっとうなミステリ作品

本作の初刊がノベルスだったということに、まず驚きたい。
今では書き下ろしのノベルスミステリというと、かなりレベルが低いというのが一般的な認識である。
しかし、ノベルスの初期には、さまざまな傑作がノベルス書き下ろしで刊行されていた。
本作を始め、島田「斜め屋敷〜」、皆川「聖女の島」、竹本「狂い壁〜」などなど、講談社ノベルスだけでもいくつも挙げられる。
これにカッパ、カドカワ等を加えたら、かなり多くの傑作がノベルスで刊行されている。

さて、戸川ミステリというと、「透明女」や「夢魔」のような妙な方向性のものを連想してしまうが、本作はまっとうなミステリである。
著者のまっとうなミステリというと、かろうじて映画化もされた「猟人日記」や処女作「大いなる幻影」程度しか思い出せないのだが、本作はもっとミステリ度の強い作品である。

ノベルス初刊なので、長編といってもそんなに長くはない。
また、著者の作品では比較的平易な文章で、読みやすい。
ストーリーもリーダビリティーが高いという、まさに傑作の条件を備えている。
そして何よりも、ミステリとして大事な意外性である。

間違いなく傑作である。
外国語に翻訳されたのもおかしくはない。
ただ、外国人に本作の心理的なディテールがどれだけ理解してもらえるだろうか、というのがちょっと心配である。
火の接吻 (扶桑社文庫 S 3-1)Amazon書評・レビュー:火の接吻 (扶桑社文庫 S 3-1)より
4594030270
No.1:
(5pt)

事実は小説よりも奇なり

その人はのらりくらりとした面持ちで、渋谷にある自分のお店「青い部屋」にいます。
自分で妖怪を名乗るその人の背中を見る度に、
僕はいつも「ム−ミン」を連想するのですが、皆さんはどう思いますか。

戸川昌子著、「火の接吻」は1984年書き下ろしで発表されました。
舞台は1984年の東京。
26年前に起きた洋画家(保険会社社長の息子)宅の火災事故現場にいた
三人の幼稚園児は連続放火事件をきっかけに再会。
それぞれが奇妙な関係を持ちながら、それぞれの結末へ向かって燃え尽きていく、
登場人物の曖昧な記憶が混じり合ってカオスとなり、事実は書き換えられ、人々は翻弄されます。

もう1つ。男女の恋愛の「火」があり、
「鉄は熱いうちに打て」なる諺もありますが、
登場人物が目指した恋愛ドラマもバライティーに富んでいて、
どういう結末に落ち着くのか。非常に、ハラハラします。

事実は小説よりも奇なり。
本当にこの人は小説を書いていたのでしょうか?と……。
火の接吻 (講談社ノベルス トA- 3 綾辻・有栖川復刊セレクション)Amazon書評・レビュー:火の接吻 (講談社ノベルス トA- 3 綾辻・有栖川復刊セレクション)より
4061825496

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!