密林の夢
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亡くなった人、失踪した人の真相を探り当てるというのは特に新しくもないよくある話です。 でもこの物語に強烈な彩りを与えているのはスウェンソン博士でありイースターであり、何より部族、動植物、昆虫、菌類などアマゾンの大自然そのものです。まさしく STATE OF WONDER !! | ||||
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タイトル通りにアマゾンのジャングルが舞台である。アメリカの製薬会社の研究員マリーナ・シンは、ある日、突然に上司からアマゾン行きを命じられる。ジャングルの奥深くで進められている新薬の開発状況を探るために派遣されていた同僚のアンダースの死の知らせが届いたからだ。その研究開発施設では、スウェンソン女史のリーダーシップの下で高齢女性の妊娠・出産を可能にする新薬の研究開発を行っていることになっている。マリーナはアンダーソンの死の真相と新薬開発状況の調査のためにアマゾンに飛ぶ。アマゾンの入り口、マナウスに着くとスウェソン女史と接点がある夫妻が彼女を足止めするような行動に出るのだった。 ミステリアスな導入で始まるが、物語はなかなか進まない。スウェンソン女史の正体は、新薬開発の実際の進捗は、そしてアンダーソンの死の真相は…。謎は次第に色濃くなっていく。しかし、ミステリー仕立てではあっても作者のねらいはそこにはない。アマゾンの奥地に来てマリーナはこれまでの自分に向き合うようになる。アメリカでの自分の生活を客観的に見られるようになる。亡くなったインド人の父に会いに何度もカルカッタを訪ねたこと。そこで父は別の家族と暮らしていたのだ。研修医時代に帝王切開手術の失敗から医師の道をあきらめて病理研究者に転向したこと。スウェソン女史が手術時の指導教官であった。破たんした若い日の結婚生活。恋人であり上司であるジョンのこと。アマゾンの熱帯の荒々しい気候や自然の中に身を置いて原住民に接することでマリーナは裸の自分を見つめ、人生の挫折と再生、葛藤と希望、後悔と逡巡について思いを巡らせる。この主人公の心の旅路こそ作者の伝えたかった核心であろうと、私は理解した。 登場人物はそれぞれに魅力的に描かれている。アンダーソンとその夫人のカレン、ノンフィクション・ライターのバーバラ、上司のジョン、そして原住民の少年たち。とりわけスウェンソン女史の存在感は、主人公であるマリーナ以上に大きかった。読み応えのある小説には必ず魅力的な人物が登場するのだ。こうした心惹かれる人物を多く登場させて、アマゾンの熱気を感じるリアリティにあふれた壮大な虚構の物語を創りだしたアン・パチェットの筆力には感服した。本作品は2011年の全米の多くの文学賞で1位に選ばれたベストセラー小説「State of Wonder」の待望の邦訳である。日本でも広く読まれることを私は願っている。海外小説でなくては味わえない読書の喜びが本作品から得られるに違いない。 | ||||
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