悲劇なんかじゃない。これが私の人生。

1998年、夏休み。

少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。

「衝撃のたくらみ」加賀刑事執念の捜査。翻弄され尽くす快感と、くらくらするような結末。

伝説の傑作『殺人鬼』、降臨!!’90年代のある夏。

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。

函館市生まれの氏家鞠子は18歳。札幌の大学に通っている。

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。

「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。

その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。