ジャージの二人

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評判

ジャージの二人の評価:

3.88/5点 レビュー 24件。 B ランク

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平均点3.88pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 1〜20 1/2ページ
No.24
(3pt)

なんかこう、っていう割に後に続く言葉は具体的なの。

本作を原作とした同名映画を見てから読んでみたら
映画はずいぶん原作に忠実に作っていたらしい。
映画のほうが少しコミカルかな。

流れる空気はとてもゆるいのに、主人公の僕が
父親や嫁、義理の妹との距離感を測りきれていないから
緊張感もあって、なんだか少しもやもやした。
人によって好ききらいがきれいに別れる作品だと思う。

あんまり似ていないと遠山さんにいわれる
ジャージ親子でも、口癖は「なんかこう。」と同じ。
ああそうか。口癖ってたしかに似るものかもな、と
妙なところに納得してしまった1冊だった。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.23
(5pt)

どんくさい感じがたまらない

「ああ、人間ってこんなもんだよな」
(いい意味で)
と、読みながら思う作品。

別に何が起こるわけでもなく、
ロクデナシでもないが、いい大人でもない登場人物たち。

「てきとう」とか、「いいかげん」とか、
そんな言葉が小説の世界にマッチする。

個人的にクライマックスは、
ジャージに刺繍された「和」の読み方が判明する場面…。

それくらい何も起こらないのだが、
そのどんくささがとてつもなくいい。

小説なのに微妙な「間」を感じる、
休日の夕暮れにビールでも飲みながら読みたい一冊。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.22
(3pt)

名脇役は魚肉ソーセージ

いい年の男二人が学校の名前の入ったジャージ姿・・・
この「絵」って違和感あるけど妙に和める不思議な風景です。
この風景を想像するだけでニヤニヤしちゃう(笑)
ビジュアル的にやられました。
大人になると、こんなのんびりした時間を過ごすことはなかなかできない。
何が起こるわけじゃないけど、佇まいが珍妙で、ぎこちない空気のユルユル加減が変な癒し効果になって、
なんだかこの本を読んでいる時間はすごーくくつろげました。

父子がよく食べている魚肉ソーセージ。
私も大好きですが、このB級さがこの作品とうまくマッチしてるんだよねぁ。
憎らしいほど絶妙な小道具でした。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.21
(5pt)

どこがいいというのは難しいけれど

庶民が別荘を持つとこんなものだろう、と本筋とは関係のないところで感心してしまいました。

つまらない(主人公の精神的に)日常を綴った作品ですが、じんわりと染み入るものがあります。

つまらなそうに見える人にも、その人の哲学があって、はっきりしない悲しみがあって、時間がゆっくり流れていく、そんな感じを綴った作品と思いました。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.20
(4pt)

傷心の男ののんびりとした山荘での日々

妻ともうまくいかず、仕事もその為にやけになって辞めちゃって

実父の別荘(山荘のようなもの)で父と二人で過ごす夏の日々の話。

パラレルの主人公と同一人物かも。妻は不倫していて、

結局不倫相手が遊びでうまくいかなかったみたいけど、不倫した

という事実をどうしても許せない。話のはしばしに散らばる妻への

消せない恨み辛みが情けない感じに描写されている。

「パラレル」でも思ったけど、この本でも恋愛に関しては男の人の

方がねちねちしているのかなって思った。

それでも世間一般の父親よりいいかげんっぽい父(実際に2回離婚

して、今は3回目の結婚をしている)とのやり取りや、

別荘での日常生活の描写が良い感じにおもしろく、

話の重みを中和している。話の舞台が自然の中でなければ

もっともっと重くて読みすすめにくい話だったかも。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.19
(4pt)

ジャージをきて、ごろごろしながら、読みました。

親子、兄妹、夫婦、なんだかみんな複雑な関係なんだけど、山中で過ごす夏の数日間には、その縮図が凝縮されていました。劇的なことは何も起こらないのに…。

『猛スピードで、母は』で母と子、
『パラレル』で夫婦、
『ジャージの二人』で父と息子の関係だなー、となんとなく思いました。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.18
(4pt)

淡々と

淡々と、淡々と、ただ過ぎていく、そんな雰囲気。
いいのではないか、と思う。
何にも得るものがないような一日を過ごしてみたいときに読むような
空気のような読書が味わえる作品であろう。
しかし、丁寧に書かれていると思う。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.17
(4pt)

再生の途中の物語

恐らくこの「ジャージの二人」と同時収録の「ジャージの三人」、そして最新作の「パラレル」の順で三部作となっているのでは…と思います。私は「パラレル」を先に読んでしまったのですが、まだの方には先にこちらを読むことをオススメします☆
 この物語で面白かったのは、息子である主人公と、その父の会話のやり取りです。バツ2だけれど特にダメ親父という訳ではなく、かと言って威厳のある父でもない。「友達親子」と言われるようなぁなぁの関係でもない、父と息子の程好い距離感が軽妙な会話に現れています。こういう風に淡々と子供を愛してくれる父親って理想だなぁ…と感じました。
 この物語では主人公はまだ再生の途中。「パラレル」で初めて物語が完結してると言えるのでは?と思い☆4つにしました。「パラレル」も是非!読んでみてください。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.16
(3pt)

おかしい話じゃないけれど

佐野洋子さんのエッセイ「神も仏もありませぬ」に、長嶋有さんがでてきて、思いがけないところで、思いがけない人と人が交流しているのだなぁと興味をひかれて読みました。
長嶋作品は、芥川賞の「猛スピードで母は」を読んで、小難しい難解な文章だけが、文学じゃないって評価されたようで、とても素敵だなと思っていましたが、この「ジャージの二人」にも同じ感想を持ちました。
あまり売れていないカメラマンの父と、売れない小説を書いているらしい息子がふたり、胸に小学校の名前の入った古着のジャージを着て、群馬の別荘とは名ばかりの小屋で、夏休みの終わりのような一週間を過ごす。
なにがおこるわけでもなく、二人でそれぞれの鬱屈した思いを抱えながら、淡々と日を過ごしている様子が描かれていますが、とりたてて面白いわけでもないのに、思わず笑ってしまうユーモアが、とてもいいです。
だいたい「だいの大人」がふたり、胸に刺繍の入った古着のジャージを着ているところを想像しただけで、なんか思わずニヤッとしてしまいますよね。
人に何かを伝えるのに、やさしい言葉で判りやすく、平明に書くというのは、実は一番難しいことではないかと常々考えていますが、この作者は、推敲に推敲を重ねたであろう文章を、ちっともそんな風に感じさせないよう、するっと差し出してくれます。
読みやすくて、ほんわりしているのに、胸にじわっと残ります。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.15
(5pt)

ジャージで読むべき日常的エンターテイメント作品

この作品を読んだきっかけは作者がクウネルに書いていた「褒め負ける俺」というエッセーがあまりにもおもしろかったので。本屋で芥川賞作品にするか迷ったが、ジャージの2人というゆるいタイトルに負け購入。
エッセーを読んだ時から感じていたが、劇的とか奇をてらうとか、そういう言葉とは程遠い作家ですごくいいっ。映画化とかされる作品とは一線をひくほどのゆるさ、(でもクドカンが書いたらすごく面白そうだけど)やる気のなさ。読んでいる最中はぷぷという擬音がついつい口からこぼれ出る。吉田修一作品の読後感の爽快さが好きな人、等身大の日常的娯楽感が好きな人にはぜひともお薦めしたい作品。さいこうっ
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.14
(5pt)

ちいさなスケール

元(?)自然派の売れっ子カメラマンで×2の父親と、妻とは上手くいかず書けない小説家でもある、その息子が北軽井沢の古い山荘で、ひと夏を過ごす話。
私は、不甲斐ない彼ら父と息子に好意を持った。そのスケールの小ささを喜んだ。昔「スケールが大きい」といいう褒め言葉をよく聴いたものだが、スケールとはモノサシだ。モノサシが小さいと、目の前のものや人の微かな変化やニュアンスを感じることができるのだ。万歳スケールの小さい人生。私は小さな話を愛す。最後まで、彼らの「へたれぶり」をうきうきと嬉しがり、ときどきヒヒヒと笑いながら読む。
物語としては、起伏の少ない話だ。『猛スピードで母は』で芥川賞を取った時には、「こんなのは小説じゃねぇ!」というような評を書いていた審査員もいた。。
小説中『話を聞かない男、地図を…』のことが出てくるが、そして、それは現実には反対じゃないかと主人公は言っていたのだが、長嶋氏は、いわゆる女性的感覚の持ち主なのではないだろうか。
男の人って、年表にまとめられるよな(あるいはちゃんとプロットが書けるような)大河っぽいスペクタクルな小説が好きな傾向が強いのでは?それは俯瞰の視点を彼らが持っているからで、だから地図が読め政治もスポーツも将軍になったように評し戦略を練る(たとえそれはシミュレーションで終わるとしても)。殿様願望だ。
逆に言えば、こんなとこが、今この瞬間のあのようす、というような具体的細部に鈍感な所以でもあるんじゃないかと思う。
そんな風な非男性的なディテールが長嶋さんの小説の魅力。事件とかなくても、細部に笑いと面白さとアイロニーがあって楽しい。生活ってそんなものだもの。
ジャージの二人 Amazon書評・レビュー: ジャージの二人より
4087746771
No.13
(2pt)

平成を代表する脱力文学

読売の「現代文芸名著60」に入っていたので読んでみた。2007年の文庫を今頃レビューするのもなんなのだが、低位のレビューが少ないので書いてみた。短い作品にもかかわらず何事も起こらないので、読み始めるとすぐに眠くなり、読み終えるのに苦労した。季節は夏から秋に変わる頃、場所は軽井沢近辺の避暑地。堀辰雄の小説「風立ちぬ」や「美しき村」の舞台だ。季節も似たような感じだが、昔からの避暑地の聖地とも言ってよいところを舞台に、美しい季節の移り替わるみずみずしさや恋の予感とは無縁に、脱力系コミックを文章にしたような、まったり世界が展開するのにがっかり。失敗した結婚の残滓が、何となく漂う。「成人した子と、離婚し三度結婚したその父が、都会のどん臭さをそのまま避暑地に持ち込んで、夏の終わりの数日を冴えない別荘で何となく不格好に過ごすだけの、おかしみを描いた日記のような、エッセイのような小説」と言ったら酷すぎるだろうか?面白かったのは、携帯(ガラケー)のアンテナが三つ立つスポットの話だが、あと10年もすれば何のことを言っているのやら訳が分からなくなってしまうだろう。高位のレビューを読んでみて、なるほど、評価する人はそのように評価するのかと感心した。平成の脱力文学の代表作として、客観的評価は星4つかもしれないが、私自身の趣味から評価すれば、星二つ。
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181
No.12
(3pt)

日常の中にあるそれぞれの想い(生き方!)

NHKのラジオに著者、長嶋有氏が出演し、その話や音楽性に面白さを感じ
「猛スピードで母は」以来、久しぶりに著者の作品を読んでみた。

奇をてらったドラマ設定が多い最近の小説の中、普通な日常生活の中にある
それぞれの想い、家庭や親子、夫婦が描かれており、スラリと読める小説でした。
ラストのメールがいいですね!一光が射すような?
壊れかけた夫婦に流れる、それぞれの想い。
やたら重くなくていいですよ。
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181
No.11
(3pt)

電波を求めて、高原のレタス畑の畔に腕を高く掲げる少女

表題作「ジャージの二人」と続編「ジャージの三人」を収める。
 初め長過ぎると思ったが別れかけの妻のテーマが出てきて、筆者自身も何を書かねばならぬのかが分かったのであろう。
父親や義妹や別荘地の人びとがいい味をだしているが、妻の下りがないと、単なるエッセイ小説になってしまう。そういう意味では続編の方がよく書けている。
と考えてくるとこの題名はどうなんだ、ということにもなる。
もっとも主題を明示しているのは、電波を求めて、高原のレタス畑の畔に腕を高く掲げる少女の姿ではないのか?
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181
No.10
(2pt)

笑いのツボの違いだと思う

ごめんなさい、まったく面白くなかったです。
ゆるーい、まったりとしたそういった空気感の出し方が肌に合わない。
おそらくこの作家と自分の笑いのツボは劇的に合わないのだろう。
多分居酒屋で話していてもかなり退屈な対話になる可能性大。
作家であってもそういうことはある。
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181
No.9
(4pt)

”ちゃんとしていない二人”のまったりとした夏

北軽井沢の山荘へ避暑に出かけた「僕」と父。「僕」の妻には大好きな人ができてしまったし、父の三度目の結婚はうまくいっていない。古くてかび臭い別荘で過ごす”ちゃんとしていない二人”のまったりとした夏。

父の最初の妻の子が「僕」。高校生の頃に別れてしまった父と「僕」の会話は、親子というより気の置けない友達同志のようだ。理想的な親子関係に見えるけれど、そのように接するしかない微妙な距離感が、二人にはある。それぞれを気遣っていながらも、肝心なところで踏み込んでいけない。30代の息子と50代の父の、ゆるさの中にあるちょっとした意地の張り合いだ。

「僕」の抱えている問題は、苦悩をはるかに超えて悲惨というべきものである。妻が、浮気相手の子供を産みたいと切望しながら、相手にフラれてしまったのだ。世紀の大恋愛を告白された「僕」は、妻の行動を横目で見ながら、ジトジトするしかない。山荘のかびた布団のようだ。

小説家を目指して会社を辞めた「僕」。執筆活動にあてるはずの、初めて出かけた父との旅行は、流されるまま無為に過ぎていく。そもそも「僕」には、自分を見つめ直すとか、何かを解決しようとか、何かを成し遂げようとかいった強い意志があるわけではない。五右衛門風呂に入ったり、犬の散歩をしたり、ご近所さんと交流する毎日だけだ。ネガティブさを、まったり感に転換する そんな心地良さが長嶋さんの作品にはある。ぐだぐだゆるゆるな二人を象徴するのが、小学校から貰い受けたジャージだ。校章を胸につけたサイズLLのダサぽんジャージが、二人のまったりユニホームなのである。
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181
No.8
(4pt)

ゆる〜い

ゆる〜い感じが好き

殺人事件が起こるわけでも、男女のドロドロな恋愛な話があるわけでもないけれど、ゆるい感じの親子2人のやりとりがうまい具合に書かれていておもしろかった。

夏の気だるいプールのあとの感じに似ている気がする・・・。
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181
No.7
(4pt)

父子のゆるーい避暑生活

失業し小説を書こうとしている息子と、かつては名のある写真家だった父親の二人が、夏も終わろうとする北軽井沢に「避暑」に行く話です。

結婚生活が破綻寸前の二人の、ある意味での逃避行です。
そこでの黴臭い蒲団にくるまったゆるーい生活振りが、淡々とユーモア混じりに展開されます。
大の大人が、小学校の名前の入った古いジャージ姿で過ごす生活を想像するだけで可笑しくなります。

この二人の関係は、父子の関係とも思えない関係です。
互いが互いを思いやっているのですが、深くは聞こうとしないし話そうともしません。

そんな二人のだらだらした生活振りは、目の前の問題を何も解決しませんが、それでいてこうした生活の中で、大げさに言えば、何かある悟りきった境地に入ってしまう様な感じです。

この続編である「ジャージの三人」も所収されています。
そこでは、前半で息子の妻も登場し、後半には父親の娘も登場します。

様々な人間関係が描かれる中で、夫婦も親子も完全には知り合えることはなく、それぞれが考えて行動し、互いに思いやって生活してゆくしかないと言っているようです。
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181
No.6
(4pt)

映画鑑賞後に読みました

映画のスローな世界の原作が気になり読んでしまった。

とても、セリフの少ないお話で、
映画では、沈黙を考えるパワーが要求されたのだが、
小説には、その答えが書いてあって、なにやら、
「映画の回答集」を開いて、答えあわせをしているようであった。

「あっ、やっぱり、あの解釈でよかったんだ」とか、
「あれ、そこまで、意地悪なことを考えてたんだ」とか。

映画鑑賞後に読むと
「なるほどね〜」と頷くことが多いのですが、
「よく、映画化したな〜」とはじめて、そんな思いを抱きました。

それほど、
ゆったりとして、
感情の起伏が内面だけに収めている作品です。
人間関係の複雑さに疲れ果てている人にお奨めします。
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181
No.5
(5pt)

シンクロする時間感覚

一般的な小説的技法が使われない。たとえば、心理描写や長い独白がない。描かれるのは断片的な思考の切れ端だけだ。また、登場人物に対する第三者視点からの説明描写がない。いわゆるト書きに当たる部分だ。これら説明的な描写がほとんど無い。
 畑の真ん中一カ所だけで携帯の柱が三本立つ…だーっそんなこと大の大人なら無視してしまう極小エピソードだ。しかも妻の不倫と父の三度目!の結婚生活の破綻と、学校生活に行き詰まっているらしい義妹と、重要モチーフは満載の小説なのだ。これをドラマチックに盛り上げることなど、幾通りも思いつく。
 だが「僕」は、ぼんやりとあせりながら、もらいもののトマトの使い道に悩んだりミロの散歩にうつつを抜かしたり、花輪和一の漫画を読んだりしている。重大な事項と些末な事項が、同じレベルで「僕」を取り巻き、現実と同じ速さで小説内の時間が進んでいく。
 今までこの作家の読み方がわからなかったが、少しわかったような気がしてきた。ゆるゆると面白い。映画化されるそうなので、そちらも楽しみだ。
ジャージの二人 (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: ジャージの二人 (集英社文庫)より
4087461181