死の霧の伝説
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小林久三は、かつて人気作家の一人であった。 テレビのワイドショーでは、事あるごとに重大事件に関して無責任な推論を好き勝手に開陳し、推理小説ファンの顰蹙を買っていたものだった。 しかし去る者は日々疎し、アマゾンで新刊書として取り扱われているのは、ごくわずか。 『皇帝のいない八月』『錆びた炎』など映画化された作品は、一部マニアには今なお人気もあるようだが、江戸川乱歩賞受賞作『暗黒告知』や、作家本人が一番読者から支持された(売れた)代表作としていた『赤い旅券』などの小説は、ほとんど絶版状態にあるようだ。 (鮎川哲也が鉄道アンソロジーに採った作品のように、面白い作品もあるにはあるのだが) 実際、たまたま古書で安かったから手にした本書は、「そりゃまぁこれでは、読書界から忘れられるわなぁ」と言わざるを得ない出来だった。 おそらく出版当時ならば、それなりのサスペンス小説として受け入れられたはずだ。 しかし、今となっては…。 「死の霧」の正体は防衛庁が極秘に開発していた毒ガスであり、人里離れた山中に建てられた極秘研究所から事故のために流出し、風下の村落を全滅させたのであろうことは、読者には初めから見当が付いている。 それならそれで、真相に気付いた主人公が自衛隊の特殊部隊から追われる危機また危機のサスペンス・アクションになるかと言えば、そうではない。 その村落に元々あった「死の霧」の伝説と、歴史の影に隠れて今日まで存続してきた特殊な一族にまつわる与太話になってしまう。 しかも、主人公の男性に簡単に惚れて、身体まで与えてくれる都合の良い女性も登場する。 結末まで至っても、国家権力に追い詰められているというより、現代社会から逃れてロマンの世界へ旅立とうとしているようにしか思えない。 余りにも話がご都合主義的であるため、今日の基準ではリアリティも恐怖感も何も感じないのだ。 仮に主人公が女性で、本人には訳のわからないまま国家的陰謀に巻き込まれ、凌辱された上に「まつろわぬもの」の末裔の世界へと誘われる…という展開であれば、まだしも今日に通用するホラー小説たりえたかもしれない。 が、残念ながら本作の出版当時には、国産ホラー小説の市場など存在せず、男性原理のサスペンスにならざるを得なかった。 それにしても小林久三の小説って、この程度だったっけ? 改めて振り返ってみれば、たしかに『帆船が舞い降りた 死の谷の伝説』『灼熱の遮断線』『富士天頂に燃ゆ』など、今となっては内容をまったく思い出せない作品も多いことに気が付いたのだった。 | ||||
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