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    初公開日(参考)2022年06月
    分類

    長編小説

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    呼び出し

    2022年06月01日 呼び出し

    ノーベル文学賞受賞ヘルタ・ミュラーによる 独裁政権下のルーマニア 女性の内面を描く 「私は呼び出しを受けている」。朝の八時前、この告白とともに一人の女性が住まいを出る。一九八〇年代のルーマニア、とあるアパレル縫製工場で働く「私」は、今日は自分に出会いたくないという屈折した気持ちを朝から抱く。国外逃亡の嫌疑をかけられたため、毎回十時きっかりにアルブ少佐の尋問に出頭しなければならならず、今日がまさにその日だ。(訳者あとがきより) 原題:Heute war ich mir lieber nicht begegnet(今日は自分に会いたくなかったのに) あたかも、万華鏡の中に閉じ込められて、覗き見られながら、変転する自らの過去を追想しているかのような「私」。――監視下の窒息的な愛と時間の中に棚引く死の記憶。 推薦帯文 小説家 平野啓一郎氏(「BOOK」データベースより)




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    No.1:
    (5pt)

    独裁政権の下での陰湿な性暴力と愛の形

    ルーマニアの独裁政権下の国家の中だけに閉じ込められて、
    イタリアとか好きな外国へ出ていけない不自由、
    国家逃亡未遂事件を起こしてから、執拗でいやらしい軍人の呼び出しが続く。
    それに神経を尖らせている女性が描かれています。

    本書タイトルの「呼び出し」とは、
    ルーマニア独裁政権の監視者「アルブ少佐」からの出頭呼び出しです。
    「尋問」(26頁、49頁)するための出頭呼び出し。

    著者は、ヘルタ・ミュラー。1953年、ルーマニアに生まれる。作家。
    著者への尋問、脅迫、執筆禁止などが相次ぎ、遂に1987年に西ドイツ・ベルリンに出国、移住。
    1991年、ソ連崩壊。2009年にノーベル文学賞を受賞する。

    本書の物語の語り手は、「私」。
    「お婆さん」(5頁)のような外見の女性。
    「私は自分が年齢不詳に感じ」(207頁)ています。
    「私」の名前は、最後まで出てきません。

    「私」は著者自身と相当重なっているのでは、と感じました。

    不思議なのは、ブラウスと友人リリー。

    「だけどパウルが知っているのは、呼び出しを受けているときの私がいつもの緑のブラウスを着て、クルミを食べているのが見られているという事実。ブラウスはリリーの形見、だけど彼女の名前は私の形見。いまだ成長し続けているブラウスだ」(22頁)

    「いまだ成長し続けている緑のブラウスを着ていたこと」(25頁)
    「私はいまだ成長しているブラウスのボタンを回す」(48頁)
    「木は成長するし、ブラウスはその名前を木からもらっている」(50頁)
    「いまだ成長し続けているブラウスはここにあるのだ」(51頁)
    「いまだ待っているブラウスを着て、私は台所に入り腰かける」(295頁)

    小説の舞台は、ルーマニア。路面電車の中。

    その時は、「1980年代」(304頁、訳者あとがき)の「今日」(3頁)
    「チャウシェスク独裁政権下の『今日』」(305頁)
    物語は、「朝の八時前」から「十時きっかり」までの「およそ二時間」(310頁)
    「その道のりだとせいぜい一時間半だ。私は二時間かける」(23頁)

    章立ても、区切りの数字も何もない、約300頁の長編小説。
    一旦読み始めると息継ぎのタイミングがわからず、息苦しい読書でした。
    内容のせいかも。

    「ドイツ語原題の直訳『今日は自分に出会いたくなかったのに』」(304頁)
    出会いたくない自分の姿って?
    「呼び出し」という日本語訳は、好きではありません。直訳のほうが好きです。

    「陰々滅々たる思い」(304頁)の「私」の独白。
    「路面電車内で起こる出来事に/過去と現在のエピソードが絡み合」(本書の帯)う。

    この物語の、最後の言葉は「狂いたくない」(296頁)
    狂っている、と叫ぶ、読者の心の声。

    執拗な「呼び出し」におびえる「私」。
    監視下の恐怖で窒息しそうな「私」。

    そういうとき、人間は、狂いたくないので、酒を飲む。
    「私」の二番目の「連れ合い」パウルは言います。
    「飲むのは絶望しているからではなくて、旨いからなんだ」(15頁)
    パウルも「私」も、絶望していると思いました。
    でも、狂いたくはないのです。

    だから「私」も昼から酒を飲む。

    酒は、「シュナップス」(9頁)
    「バイソングラスの黄色いシュナップス [訳者注 一般に『ズブロッカ バイソングラス』と称されるウォッカ] 」(263頁)

    《備考》
    <主な登場人物>

    「アルブ少佐」  
      ルーマニアの独裁政権下での監視者。
      国外逃亡の可能性のある「私」を呼び出して執拗に監視する。
      頭じゅうから「アヴリル」(フランスの香水)の香りがする軍人。
      「1951年にはすでにこの犬めは香水臭かった」(237頁)

    「最初の夫」  二年半で「私は最初の夫と別れていた」(63頁)

    「ネル」  「私がメモの件で捕まえられたとき」(63頁)の「彼」

    「パウル」  「私」の二番目の夫(連れ合い)。飲酒癖。
     「飲むのは絶望しているからではなくて、旨いからなんだ」(15頁)

    「リリー」  「私」の友人。ハンガリーへの逃亡に失敗し「射殺された」(73頁)
    呼び出しAmazon書評・レビュー:呼び出しより
    4384059841



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