小和田くんに隙はない? 飯田さんの学園事件簿



※タグの編集はログイン後行えます

【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

0.00pt (10max) / 0件

0.00pt (10max) / 0件

Amazon平均点

4.00pt ( 5max) / 1件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
0pt
サイト内ランク []-
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

0.00pt

0.00pt

0.00pt

0.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)2016年06月
分類

長編小説

閲覧回数704回
お気に入りにされた回数0
読書済みに登録された回数0

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

小和田くんに隙はない? 飯田さんの学園事件簿 (一迅社文庫)

2016年06月18日 小和田くんに隙はない? 飯田さんの学園事件簿 (一迅社文庫)

※あらすじは登録されていません



書評・レビュー点数毎のグラフです平均点0.00pt

小和田くんに隙はない? 飯田さんの学園事件簿の総合評価:8.00/10点レビュー 1件。-ランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

現在レビューがありません


※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.1:
(4pt)

天然少女とクールなメガネ君による学園日常ミステリ。オーソドックスと言うかクラシカルな雰囲気だけど、逆にそのケレン味の無さが良い

萩原麻里さんの一迅社文庫での作品はこれが二冊目、随分前に読んだ「暗く、深い、夜の泉」は終盤の尻切れトンボっぷりに「何じゃこりゃ?」だったけど、
前作とは随分と雰囲気の違うタイトルや表紙に「別のタイプの話ならイケるのでは?」と可能性を感じて拝読

物語は名城高校一年生の小和田孝が産まれた時から隣同士で保育園から義務教育期間を経て、高校までずっと同じ学校という幼馴染の飯田夏美から
学園の七不思議についての話を持ち掛けられる場面から始まる。昼休みを美術雑誌を読んで静かに過ごしていた小和田くんの事情はそっちのけで
「クールで七不思議なんか信じそうも無い木嶋さんが目撃者だから間違いないよ!」と飯田さんが熱く語るのは木嶋さんが夜の校舎内で赤ん坊の泣き声の
様な声を聞き、人とは思えない小さな影が通り過ぎるのを目撃したという話であった。目撃した木嶋さんがその後も元気が無いと言う事で第二、第三の
犠牲者が出る前に私たちが何とかしなくちゃ、と語り、結局は断れない小和田くんを巻き込んだ飯田さんは小和田君の数少ない友人を自称し、今回も
興味深々で仲間に加わってきた演劇部の隈くんも引き連れ夜の校舎へと教師の許可を取って乗り込む事に。夜の校舎を歩く三人だったが、意に反して
聞こえてきたのは割としっかりした人間の声とこそこそ動く影、自分たち以外の誰かが校舎に忍び込んだのでは、と人影を追いかける三人だったが
捕まえた相手は件の木嶋さん。近くの公園で事情を聞く事にした飯田さんたちに対して木嶋さんは探し物をしていた、と告白。それなら夜の学校に忍び
込まないでも、と冷静に問い掛ける小和田くんに対して木嶋さんが白状した探し物は自分の飼い猫、数日前から行方不明になっている茶トラのキキ
事情を知った飯田さんは七不思議捜索中止を高らかに宣言。ここからは木嶋さんのキキちゃんを探す会にしよう!と再び小和田くんを巻き込む事に…

非常にオーソドックスというかクラシカルな雰囲気がする作品だったな、という印象。ただし、それが悪い意味では無く、最近のゴテゴテした作品が多い
ライトノベル界にあっては逆に新鮮な「ケレン味の無さ」として効いていたな、と好印象を持った。特徴的なのが上で紹介させて頂いた冒頭部分を読んで
お分かりの通り、全ての登場人物が「小和田くん」「飯田さん」と「くん・さん付け」の敬称で呼ばれているのである。昔のジュブナイル小説やポプラ社辺りの
少年小説ならともかく、今のライトノベル界でこういうキャラクターに敬称を付ける作品が登場した事にちょっと衝撃を受けた

物語の方は短編四本で構成される短編連作形式。敢えてジャンル分けをするならば学園日常ミステリ、という所。ミステリと言っても人が死ぬような物騒な
事は一切無く、上で紹介させて頂いた猫探しであったり、家庭科部で起きた差入れ用のカップケーキと家庭科部員の指輪の盗難事件、夏休みの学校を
舞台にした合宿中の演劇部の部室で見つかった謎のラブレターの差出人探し、そして有名な画家の娘で美術部のエースの作品を傷付けた犯人の探索と
どれもこれも「高校生が『探偵ごっこ」ばりに探索に乗り出しても不思議じゃない」タイプの事件ばかりである

この学校で起きたちょっとした事件の謎を解き明かすべく動き回るのが主役の幼馴染コンビ。本来は水泳部なのだけど名義貸しも含めて自分が幾つ部を
掛け持ちしているか分からないという社交性とバイタリティ、好奇心の塊みたいな元気娘の飯田さん。本来は静かに過ごすのが好きで、友達もほとんど
いないけど、幼馴染の飯田さんが好奇心を発動させるたびに巻き込まれる小和田くん。水と油みたいに反発しそうなキャラの二人が、幼馴染という
切っても切れない関係(何と自室の窓を開けると互いの部屋が覗けて、時には屋根を伝って飯田さんが遊びに来ちゃうという古典的幼馴染!)基本的に
探偵役の小和田くんが謎解きを担当するのだけど、迷惑そうにしながら時に飯田さんへの仄かな想いを隠せない辺りが実に甘酸っぱい。小和田くんは
飯田さんを「女の子」として意識しているのに、飯田さんは天然っぽい性格もあってか幼馴染らしい「距離感ゼロ」で小和田くんを度々ナチュラルな色気で
困らせてしまう場面など大いにニヤニヤさせられた

日常的な謎解きに相応しく、一般的なミステリに必要不可欠とされる様な「悪人」が出て来ないのも特徴。各エピソードに登場する「犯人役」も私利私欲では
なく、人間的な弱さから切羽詰まって「やってしまった」という人間臭いタイプが多い(中には「犯人」自体が存在しないエピソードも存在する)。そういった
意味ではミステリにありがちなドロドロ感が苦手な人でも比較的読み易い、ジュブナイル的な味付けが施されていると言えるかと

欲を言えば、終盤で明かされる主役二人の関係性は序盤からもう少し匂わせても良かったんではないか、という気がした。特に飯田さんの桁外れの
好奇心に振り回される姿が描かれ続ける小和田くんが、なぜその関係を受け入れているのか、という部分に関わってくる事でもあるので、この見守る・
見守られているの立場が実は逆転しているという二人のキャラをもう少し掘り下げつつ物語を展開した方が、主役二人の印象付けはもっと明確に
出来たのではないかとちょっとばかり惜しく感じた。あと、第一話で「木嶋さん」の正体を伏せていたのは必然性がよく分からなかった(伏せる必要あった?)

問題は…圧倒的な誤字というか校正ミスの多さ。「ドルブル」とか「絵を描く様にナッツて」とか、出るわ出るわ…一迅社文庫も刊行数の極端な減少から
台所事情がかなり苦しいのはお察しするが、最低限の校正はしてくれないと、物語への集中を度々阻害されて、せっかくの良い話にのめり込む事が
できなかった。作家がプロの仕事をしているのに、これはちょっと頂けない

ゴテゴテした飾り付けばかりが目立ち、全体的に設定過多な傾向を見せて、その一方で人物描写は紋切り型と言うかテンプレートそのままの記号みたいな
人物像しか描けない作品ばかりが目立つ昨今のラノベ界にあっては、「ああ、これはホッとする」と読書の原点に戻った様な懐かしい気分を思い出させて
くれる様な素朴な学園日常ミステリ。最近のゴテゴテした「うるさい」ラノベに食傷気味の方にはお口直し的な意味で是非ご一読をお勧めさせて頂く
小和田くんに隙はない? 飯田さんの学園事件簿 (一迅社文庫)Amazon書評・レビュー:小和田くんに隙はない? 飯田さんの学園事件簿 (一迅社文庫)より
4758048509



その他、Amazon書評・レビューが 1件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク