終身刑
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重厚で面白いリーガルサスペンスでした。 残念なのは、amazonでも「内容(「BOOK」データベースより)」に出てくるこの惹句。 「銃もナイフも持たない人間に120人もの人を殺せるか―飛行機墜落の責任は薬物中毒の兄を操縦士に戻したからだと弟が殺人罪で起訴された。恋人を救えるのは自分しかない。女弁護士ダイアナは白熱の法廷術を繰り広げる。巧妙で執拗な女検事イザベルと戦ううち新たな疑惑が浮上した。MWA処女長編賞候補作。」 本の裏表紙にも書いてあり、嘘ではないけど、これ見たら、ダイアナが主人公だと誰でも思いますよね。しかし、この「内容」で言われる「弟」が主人公で一人称で書かれています。明らかにミスリード狙いですね。 また、日本語タイトルも、ちょっとなぁ。作者はこういうタイトルで出されたの知っているのだろうか。 原題直訳では売れず、惹句も女性弁護士が主人公のように見せた方が良かったのかもしれないけど、売らんかな、という出版社の姿勢が見えてしまって残念でした。 | ||||
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娘の不幸な死のショックから、薬に頼って生活するパイロットのチャーリーは、航空会社からも解雇される。チャーリーの弟で、航空会社の顧問弁護士であるマイケルは社長を説得し、検査によって薬物の陰性反応が出たら復職を認め、陽性が出たら永久に復職させないことを決めた。結果は陽性。しかし弟は、堅い絆で結ばれた兄の「もう絶対に薬はやらない」という言葉を信じ、陽性のテストを隠し、陰性反応の出た2度目のテストだけを会社に提出し、兄は復職。2ヵ月後、兄の操縦した飛行機が墜落し、兄を含む120名が犠牲となる。兄の体からは、致死量に匹敵する量の薬物が検出された…。そして弟弁護士は、兄に薬物中毒の物証がありながら会社にそれを隠し、復職させた責任から殺人罪で告発される…。 ストーリーの異色性もさることながら、エピソードの具体性、罪の意識に追い詰められていく弟・マイケルの心理描写の緻密さ、そしてドラマチックに展開する法廷の闘争シーンは、これがフィクションだということが信じられないほど。信頼していた友人たちの裏切り、失職、マスコミや世論のバッシング…、そして終身刑をかけた裁判…。味方が少ない絶望的な状況の中で、自分の弁護を引き受けた恋人の女弁護士と、1人娘との絆、そしてあくまで死んだ兄を信じ続けるマイケルの思いはそれだけで感動的です。 墜落事故の原因は、本当に薬物に犯されたチャーリーの操縦ミスにあったのか?チャーリーは本当に、自ら致死量の薬を飲んだのか?ストーリーは中盤からほとんどが法廷を舞台にして進んでいき、徐々に明らかにされる事実に、物語はどんどん面白くなっていき、目が離せません。終盤にさらにストーリーが三転四転しますが、それは決して読者を欺く内容ではなく、結末は心から満足できるものでした。これほど複雑かつ巧妙に入り混じったストーリーを綺麗にまとめ上げる作者の筆力には脱帽です。人の弱さや卑怯さ、死んだ人間の尊厳、裁判制度の危うさ、第3者に訴えることの難しさ…とにかく色んなことを静かに考えさせられます。いい本でした。 | ||||
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