ライ麦畑の迷路を抜けて
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身も蓋もなくいってしまえば、サリンジャーと恋愛をし、別れた女性の回想録である。当時、18歳であった著者は、雑誌にのせた記事がきっかけで53歳のサリンジャーとの文通がはじまり、恋に落ちる。一時同棲もするが、それも長くは続かなかった。サリンジャーと別れたあと、コラムニスト・作家として成功し、結婚・離婚も経験する。そしてサリンジャーとの過去を回想録にまとめ、25年ぶりにサリンジャーに会いにゆく。かつてサリンジャーは彼女のことを「本物の作家になる」と言った。しかしその人の口から、「きみはゴシップを書いて、これまでやってきた。空虚で、無意味で、不快で汚らわしいゴシップだ」といわれ戸口で追い返される。 この場面にいたるまでの人生を、俗物を嫌うサリンジャーとは逆に、自分に正直になることが唯一読者につながる道であると信じて、彼女は詳細に記す。なぜこの女性にサリンジャーが惹かれたのか。この才気のなかに読者もおぼろげながら見えてくるはずだ。しかし、読みおわってみると、やはりサリンジャーの素顔がもっとも印象に残る。 本の出版後、彼女は子供の学費稼ぎのために、サリンジャーから受けとったラヴレターをサザビーズのオークションに売り出す(なかなかやる)。奇特な金持ちが1900万円でそれを買い取り、サリンジャーに返却する。またこの本が出版されたのち、同じように彼と文通をしていたという女性が三人もあらわれる。 サリンジャーの小説が心の傷痕を扱っていることを知っている読者なら、この本を読んで幻滅することはないと思う。また、そう思いたい。「エズメに捧ぐ」のなかの利発な少女の姿を、現実のなかでいまだに求めつづけている彼に、いたましさを感じることはあってもだ。汚辱を愛するといったあの少女は、サリンジャーにとって永遠の少女でもあったのだろう。作家にとって作品が地上の花であるなら、ここに描かれているのは地下の根のようなものだ。この根の猛々しさは作家の業といってもいい。やはりサリンジャーは一筋縄ではいかない。サリンジャーのファンは多いと思うが、花だけではなく、根の部分もぜひ一読してほしい。 | ||||
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