湾岸の敵



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    初公開日(参考)1996年01月
    分類

    長編小説

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    湾岸の敵〈上〉 (創元ノヴェルズ)

    1996年01月01日 湾岸の敵〈上〉 (創元ノヴェルズ)

    艦長のベンジャミン・シェーカーは艦橋にたたずんでいた。ここペルシャ湾で、彼の指揮したフリゲート艦が炎上し、傾き、いままさに海中に没しようとしていた。部下たちの叫び声が、悲鳴が耳に突き刺さる。たった一発のミサイルにやられてしまった。イランの奇襲。備えができていなかった。だが、これからは怠らない。次はこのツケを払ってもらう…やがて、その次が巡ってきた。新たに指揮する艦、「ターナー・ヴァン・ザンド」が。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    湾岸の敵の総合評価:7.67/10点レビュー 3件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    水を得た魚のような筆致

    初の上下巻でしかも確かそれぞれ400ページぐらいの厚さだったが、とにかく読み終わるのに何日もかかった記憶がある。元々このポイヤーという作家はこの手の軍事小説が得意だったらしく、『冬山の追撃』は彼にとっては異色作であったようだ。なぜなら本作ではさらに事細かに軍用艦の設備やら装備やら操船用語などの専門用語が頻出し、しかも相変わらず文字は見開き2ページが真っ黒になるほど埋め尽くされていた。
    この題名は90年に起きた湾岸戦争を大いに意識しており、本作の中の敵もイラクである(刊行は96年)。当時のこういう軍事小説ではもはや湾岸戦争を語らずにはいられなかったといえよう。

    軍用艦の乗組員のサブストーリーなども手を抜かずに書かれていたので、次第にページが多くなったと思う。とにかく前2作とは格段の進歩の出来であったことは記憶に残っている。専門分野を扱ったせいか、水を得た魚のようにディテールが細かくなるに連れ、人物造形も増してきた。確か本書だったと思うが、変わった書き方をしていた。それは三人称叙述ながらある人物の視点を中心に物語が進行するのだが、次の章になるとこれがまた他の登場人物の中心視点に変わるという書き方だった。これだけ聞くと、物語の視点が統一されずに読みにくいのではないかと思われるが、そうではなく、例えば、その人物がある部屋に入って誰かと話していたとしよう。そこに新たに入ってきた人物でその章が終る。そして次の章ではその新たに入ってきた人物の視点で物語が進行するといった具合に、案外場面展開がスムーズだったような記憶がある。またこれが他の人から見た当の人物の印象なども判り、なかなか面白い話運びだなと思った。この手法で物語が進行すると、脇役のキャラクターの心情にも踏み込むことになるから自然、それぞれの人物像にも厚みが出てくる。だから本作を読んだ時は、これからこの作家は伸びてくるのではと思わせる期待感をもたらしてくれたが、そうは簡単には行かなかったのだった。

    Tetchy
    WHOKS60S
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.2:
    (5pt)

    団塊世代の米海軍軍人の目で見た世界は、我々とはだいぶ違う

    イラン・イラク戦争(1980-1988)当時の中東を舞台にした『近過去』海軍小説。

    本書が描かれた時代背景から約40年近くの時間が経過したというのに、アメリカとイランの一触即発の、中東の力学的関係は殆ど変わっていない。
     中東問題に関して、日本が主力プレーヤーどころか、プレーヤーですらないのがかったるい。

     海軍軍人あがりの著者の目でみたリアルな米海軍艦艇乗組員の日常と内情が、これでもかというくらい綴られている。

     のっけから、海軍・海事専門用語と個艦の艦名が飛び交うので、ただの活劇小説と思って読み始めた日本の読者の何割かは、ほどなく投げ出してしまうのではないだろうか。

    老朽化した木造の米海軍掃海艦(鈍足なのは現代の最新鋭掃海艇も同じ)で構成された掃海部隊が、嵐のなか、ヨタヨタと大西洋を横切ってペルシャ湾に到達する様は、まさにその少し後、湾岸戦争後の1991年に我が日本海軍(海上自衛隊の自称:Japanese Navyは、他に訳しようがない。 海上自衛隊とは国内向けの仮名。)の掃海部隊がインド洋を回ってペルシャ湾に到達し、難易度の高い残存機雷掃海に大活躍した史実!を想起させる。

    話を戻すと、主役のフリゲイト(当時は新鋭艦)オリヴァー・ハザード・ペリー級は、建造費圧縮を旨として斬新な設計で同型艦を50隻以上、大量建造した汎用護衛艦(いわゆるワークホース)であるが、実のところ、あまり軍艦らしかぬ艦形は、昔ながらの艦船ファンにはあまり魅力を感じさせない艦種であった。

    しかしこの小説を読むと、オリヴァー・ハザード・ペリー級は意外とおもしろい艦であったのだな、と思う。 
    過去形で書いたのは、もはや米海軍に本級は現役では残っておらず、同盟諸国(日本には導入されていない)で若干数が稼働しているだけの、半ば、過去のフネだからである。  本級に核兵器(といっても、長距離対空ミサイルだが)が積まれていたことは、月刊誌「世界の艦船」の読者である私も初耳だった。

    本論を少し外れるが、日本の艦船ファンの間では本級は「オリヴァー・ハザード・ペリー級」とフルネームで知られているが、本書の訳では「ペリー級」で心許ない。

    旧式駆逐艦チャールズ・F・アダムス級もエピソードが随所に登場するが、これもなぜかチャールズ・アダムス級と、ミドルネームFが省略されて違和感を覚えた。

    ストーリー展開はややもたつきを感じ、少数派の黒人士官たちの孤独感、同じ艦艇に乗っていても職種の違いからくる反目、学校でいえば教頭にあたる副長(先任将校)の気苦労、実際に起こった事件をモチーフにしているとすぐわかる数々のエピソード・・・。 一体、この本の主人公はフリゲイトの副長・レンソン少佐なのか、それとも新任の艦長・シェーカー中佐なのか、少なくとも上巻を読み終えた時点ではよくわからない。

    日本人(間抜けな観光客として登場)、アメリカインディアン(プエブロ族の青年が、ジャンキーの乗組員として登場)、アラブ人や黒人への上から目線、ペルシャ人(イラン人)特にイスラム原理主義の宗教政権とその軍事組織である革命防衛隊に対する著者の感情は憎しみの域に達していて、日本の読者としてはあまり気持ちはよくない。

    小説の形を借りた海事情報誌、当時の米海軍軍人が語った戦史として読む分には興味深い本であった。

    (下巻を読みつつ、全体の感想を記した)
    湾岸の敵〈上〉 (創元ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:湾岸の敵〈上〉 (創元ノヴェルズ)より
    4488801129
    No.1:
    (3pt)

    多彩な登場人物のおりなすドラマ

    物語は、イラン軍の対艦ミサイルがアメリカの軍艦を撃沈するところからはじまる。自分の艦を失った艦長が、新たに指揮するフリゲートを受領する。フリゲートには、有能な副長から麻薬に溺れる水兵まで多様な乗組員が働いている。艦長の精神状態に疑問を持つ副長が一応の主人公であるが、脇役たちのドラマの数々が面白い。いわゆる、ふつうのテクノスリラーとは趣は異なるので、その方面を期待すると肩透かしを食うかもしれない。
    湾岸の敵〈上〉 (創元ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:湾岸の敵〈上〉 (創元ノヴェルズ)より
    4488801129



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