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No.8
動機
横山秀夫
苦味を噛み締めたあとの、ほろりとした甘さ
No.7
双頭の悪魔
有栖川有栖
ロジックが積み上がっていく快感
No.6
殺戮にいたる病
我孫子武丸
「愛」は自己完結しうるか
No.5
ルームメイト
今邑彩
レンジでチン!
No.4
さまよう刃
東野圭吾
さまよう刃は己の手の中に
No.3
姑獲鳥の夏
京極夏彦
「不思議」とは何か?
No.2
グレイヴディッガー
高野和明
名もなき市井の小悪党
No.1
マークスの山
高村薫
隠微な陶酔感
人間とは誘惑に弱い生き物だなぁとしみじみ思ってしまった。それは他者から与えられる甘い言葉だけでなく、己の心の中にもあるもの。つい安易な方向へと行きたがる、己に都合の良いように考える、悪いのは自分じゃない○○だ・・・などなど。なんでも自分に擬えるのは気色ワルイ読み方かも知れないが、やはり身につまされる部分は多い。
そして、主人公たちは、それぞれが何かを失くす。失うのは組織への(もしくは個人への)信頼であったり、野心だったり・・・安寧だったり、希望だったりするのだが、最後に失ったものの代わりに何かを手に入れる・・・と言ってしまうと綺麗事にすぎるかも知れない。失わなかったもの、手の中に残ったものに気づく。それは、救いとすら言えないほど、ささやかなものだったりする。明日は今日と変わらず苛立ちやら失望に満ちているだろうが、それでも「人生まだ捨てたもんじゃない」と思わせ、何かしら噛みしめるものを与えてくれる佳作ぞろいである。特に表題作のぴりりとした緊張感と、ラストの清涼感は秀逸。