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No.6
動機
横山秀夫
苦味を噛み締めたあとの、ほろりとした甘さ
No.5
双頭の悪魔
有栖川有栖
ロジックが積み上がっていく快感
No.4
殺戮にいたる病
我孫子武丸
「愛」は自己完結しうるか
No.3
姑獲鳥の夏
京極夏彦
「不思議」とは何か?
No.2
グレイヴディッガー
高野和明
名もなき市井の小悪党
No.1
マークスの山
高村薫
隠微な陶酔感
人間とは誘惑に弱い生き物だなぁとしみじみ思ってしまった。それは他者から与えられる甘い言葉だけでなく、己の心の中にもあるもの。つい安易な方向へと行きたがる、己に都合の良いように考える、悪いのは自分じゃない○○だ・・・などなど。なんでも自分に擬えるのは気色ワルイ読み方かも知れないが、やはり身につまされる部分は多い。
そして、主人公たちは、それぞれが何かを失くす。失うのは組織への(もしくは個人への)信頼であったり、野心だったり・・・安寧だったり、希望だったりするのだが、最後に失ったものの代わりに何かを手に入れる・・・と言ってしまうと綺麗事にすぎるかも知れない。失わなかったもの、手の中に残ったものに気づく。それは、救いとすら言えないほど、ささやかなものだったりする。明日は今日と変わらず苛立ちやら失望に満ちているだろうが、それでも「人生まだ捨てたもんじゃない」と思わせ、何かしら噛みしめるものを与えてくれる佳作ぞろいである。特に表題作のぴりりとした緊張感と、ラストの清涼感は秀逸。