記憶のための殺人
評判
記憶のための殺人の評価:
3.00/5点 レビュー 1件。 - ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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記憶のための殺人の評価:
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ミステリの体裁はとっているものの、テーマは犯人を暴くことではなく、殺人事件の捜査を通して、表ざたにできない戦中の暗い歴史を読者に知らしめることが主眼と読めます。ミステリとしては、2代にわたる射殺被害者であるとか、彼らが共通に追い求めていた歴史上の真実とは何か、など、劇的に膨らまそうと思えばもっとドラマティックにできたはずの題材を、短編ドキュメンタリー風にあっさり語り進めていくあたり、ぶ厚い大作に慣れた読者にはいまひとつ物足りなく感じられましょう。このあたり、ページ制限があったらしい当時のフランス出版界の事情によるものかとも思われますが、半ルポルタージュと割り切って読めばあまり気になりません。逆に、怖そう、暗そうというロマン・ノワールのイメージを覆すほどに、この作品にはユーモアがあり、雰囲気は明るいのです。
そういえば、かつて読んだJ・P・マンシェット(『狼が来た、城へ逃げろ』)にしても、アルベール・シモナン(『現金に手を出すな』)にしても、A・D・G(『病める巨犬たちの夜』)にしても、血なまぐさい抗争や事件を扱いながら、ラテン人らしい陽気さが共通して感じられるのです。
エンターテインメントとしては荒削りではあるものの、ストレートなテーマ開示により、印象深い作品に仕上がっていると言えましょう。