アイリーンはもういない



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    初公開日(参考)2018年01月
    分類

    長編小説

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    アイリーンはもういない

    2018年01月10日 アイリーンはもういない

    アイリーンは平凡で物静かな女に見えた。だが、内には激しい感情を抱え、自分だけのルールに従って生きていた。酒浸りの父親を憎み、自分の女らしさも嫌悪した。ろくに食事をせず、母親が遺したサイズの合わない服を着た。シャワーは浴びず、体の汚れはできるかぎり我慢するのを好んだ。彼女が「監獄」と呼ぶ少年矯正施設で働くときは、ひとりで、同僚や少年たちの妄想を膨らませていた。単調につづく彼女の人生に転機は突然やってくる。魅力的な女性レベッカとともに、取り返しのつかないかたちで―強烈なまでに暗く屈折しつつ、たくましくもある等身大の女性を描き出すアメリカの新鋭のデビュー長篇。PEN/ヘミングウェイ賞受賞、ブッカー賞最終候補。(「BOOK」データベースより)




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    No.2:
    (4pt)

    負け犬がロープを切るまで

    鬱屈した女性が家を出るまでの話です。
    出るまでにドラマがあり、心が変化していくのではない。
    殆どのページはその女性の心理がどれほど鬱屈し、その生活に喜びがなく、
    半面、押さえつけられた内面は歪み、妄想を楽しみにするという暗い絵で、ほとんど動かない。
    手塚治虫氏の『ばるぼら』に似た感じの打ち棄てられた感もありますが、
    アイリーンには徹底して外の世界がない。
    自分で閉じ込めている部分もあり、目だけはぎらつかせて外を呪い、
    万引き、試着した服を傷つけるなど性格の悪い行動もします。

    「しかし、それは50年前の過去のこと」
    この預言によって、読者は、魅力的ともいえない彼女がどうして
    幸せになったのか興味をもって読み続けられるでしょう。
    後半部は、前半とは打って変わった大展開をしていきます。
    あとがきにヒッチコックの「レベッカ」をモデルにしたとありますが納得。
    ビクともしなかった負け犬が、レベッカの野心ともいえる
    行動に便乗することによって、ロープをきり、のら犬になります。
    その後、どうやって家族を得たのかはほとんど書かれていませんが、
    違う名前で呼ばれて生きていきます。

    貧しさから抜け出すサクセスストーリー、また、成功してピークを過ぎた後、
    実は子供時代こんなに苦労したんだという有名人のエッセイ等は多いですが、
    世の中で顧みられることのない女性が家を出るだけを切り口にして仕上げられてる。
    切れがある作品です。
    アイリーンはもういないAmazon書評・レビュー:アイリーンはもういないより
    4152097396
    No.1:
    (5pt)

    『地下室の秘密』とでもいう物語になりそうな状況のわたしでした

    この物語の主人公「わたし」アイリーンは、現在74歳のおばあさん。おばあさんが50年前の1964年の一週間のことを語ります。

    1964年の「あのころ——五十年前だ」(4頁)。
    肩の「小さな処女」、「乳房はレモンの大きさ」(104頁)だった若き女性。
    「何も塗っていない唇が乳首と同じ色だったからだ。二十四歳のわたしは自分の裸を想像されるどんな手がかりも与えまいとした」(24頁)

    そんなだったわたしは「これまで何人もの酒浸り男と暮らしてきたけれども」(6頁)、故郷のXヴィルから姿を消した1964年のこと、そして「置き去り」にしたアルコール中毒の父のことは五十年後の今でも忘れてはいません。

    あの金曜日から「一週間後、わたしは家から逃げ出し、二度と戻らないことになった。これはわたしがどうやって姿を消したかについての物語だ」(16頁)
    舞台は、極寒のニューイングランドのXヴィル。
    1964年の十二月の「最後の数日」(5頁)一週間の物語です。
    あの「金曜日」、「土曜日」、「日曜日」、「月曜日」、「火曜日」、「水曜日」、そして「クリスマスイヴ」

    「終章」で、Xヴィルの寒いクリスマスの朝の日がのぼる前が、家で過ごす最後の時間。
    寒いクリスマスの朝に、「ダッジでXヴィルを走り抜けた最後のドライブはいいものだった」(310頁)そして「クリスマスの夕方にニューヨークに着いた」(305頁)

    以上は、あらすじです。

    以下は、気に入った、あるいは気になった表現です。列記します。

    「告白すると、わたしの<ナショナル・ジオグラフィック>の山のなかには父のポルノ雑誌が何冊か隠してあった。わたしはその一冊を引っ張り出して適当にページをめくり、やがて眠りに落ちた」(215頁)  若い女性もポルノ雑誌を隠れて読むんだあ。

    「『父親を殺すことが』わたしは答えた。『唯一の出口だからよ』」(263頁)

    若い女性もそんなふうに考えるんだ、と老男性読者はしばし考え込みました。
    もしアイリーンの母親が死んでいなかったら、母親を殺すことが唯一の出口だから、とでも答えたのかなあ、と読者は息を吞みました。
    だって「ほとんどの女性は互いをきらってる。それが自然なのよ、わたしたちはみんな競い合ってるの。特に、母親と娘はね」(264頁)

    自然かあ?

    「自分の指のにおいを嗅ぐのは自然な好奇心だと思う」(25頁)

    男性読者も同意します。けれど、若い女性がですよ、かゆい“下のほう”を掻いた指を洗わずに、老いて退職する八十代の男性に「楽しい第二の人生を」と言って手を差し出すとはね! いやはや、セクシー漫画のようで、いやらしく笑いそうになりました。しかし、品の良い読者は笑いをこらえ、さすがPEN/ヘミングウェイ賞を受賞する作品は違うなあ、リアルだなあ、と変に納得しました。

    もひとつ、お笑いを。
    「くだらない陳腐なことばを思い出す。『わたしを愛しているなら、わたしの欠点は気にならないはずよ』これまでの人生で、たくさんの男性にこの台詞を言ってきた。答えはいつもこうだった。『それなら、ぼくはきみを愛してないんだろうな』思い出すたびに笑ってしまう」(243頁)  ふうん。愛って、欠点が気にならないことなのかなあ? そういえば、結婚式で「欠点には片目をつぶって」と祝辞をもらったなあ。

    おあとがよろしいようで。ご清聴ありがとうございました。
    アイリーンはもういないAmazon書評・レビュー:アイリーンはもういないより
    4152097396



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