優しいオオカミの雪原
- オオカミ (6)
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一九世紀半ばのカナダ。平和な入植地で罠猟師が殺され、同時にひとりの青年が行方不明となった。 殺害現場からつづく足跡が向かっていたのは北―オオカミの棲む森と極寒のツンドラしか存在しない最果ての土地。青年にかけられた容疑をはらすため、母のロス夫人は危険な捜索の旅に出発する! コスタ賞最優秀作品賞を受賞した他、英国推理作家協会賞エリス・ピーターズ賞の候補になった大型歴史冒険エンターテインメント。 さぁ、この舞台となっている背景はスコットランドの移民たちが続々と夢と不安を抱きながら上陸したカナダである。 最もイングランド人たちがなだれ込んだニューイングランド地方ではスコットランド人たちは3Kの誰もやりたがらない仕事にしかありつけなかったのだが、新天地を求めてカナダに矛先を変えたのが始まりだ。 比較的職もあり暮らしもそう困難ではないグラスゴーやエジンバラのローランドは違いハイランドの人々はとにかく厳しい気候風土、貧しい暮らしと先行きを案じながら、思い切って人生の「賭け」に多くのハイランダーたちが上陸を果たした広大な国。 そこでの生活は故郷のスコットランドよりも厳しかったに違いないが、同郷のもの同士が支えあい、コミュニティーを形成し、フランスやアメリカ、そして先住民のインディアンたちとの距離を保ちながらまるで民族のジグゾーパズルのようなカナダという国。 冬のその厳しさは想像を絶するだろうが、もともとがタフで陽気でフロンティア精神溢れるスコットランド人のたくましさがにじみ出ている。 この作者の凄いところは、作者自身が外出恐怖症のために自身がカナダへ出向き実際に空気を吸い、まぶたのシャッターを切り、脳裏に焼き付けたのではなくすべてを図書館で想像力を膨らませて書き上げたというから驚きである。 流れる文章からは首筋から冷気が突き刺さりそうなほどのリアルで残酷な雪の雪原が感じ取られ、一人一人のキャクターがしっかりと描き出されている。 というのも、語り手が複数であるのも面白い。 それぞれのキャラからの個別なストーリーを追うだけでも楽しいし、入植時代の歴史的光景も興味深い。 ストーリーもその個別なものからだんだんと重なり合ってゆき、ミステリーで不透明な部分を解明していく。 個々のキャラ、語り手がどの人も実に魅力的。それぞれが痛い過去を秘めながらも、極寒の中を懸命に生きている。 そして、いろんな「愛」の形も覗かせてくれる。 複数の主人公の中でも主格であるロス婦人の冷え切った夫婦関係ではあるが、無口で無愛想な夫のロスとの関係も最後には改善できそうな希望を与えてくれる。 大丈夫、彼女なら上手くやれるだろう。 読書後もかの地で小説の中で息づいたキャラクターたちのその後を想像してみたくなる実に内容の濃い作品でした。 | ||||
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一九世紀半ばのカナダ。平和な入植地で罠猟師が殺され、同時にひとりの青年が行方不明となった。 殺害現場からつづく足跡が向かっていたのは北―オオカミの棲む森と極寒のツンドラしか存在しない最果ての土地。青年にかけられた容疑をはらすため、母のロス夫人は危険な捜索の旅に出発する! コスタ賞最優秀作品賞を受賞した他、英国推理作家協会賞エリス・ピーターズ賞の候補になった大型歴史冒険エンターテインメント。 さぁ、この舞台となっている背景はスコットランドの移民たちが続々と夢と不安を抱きながら上陸したカナダである。 最もイングランド人たちがなだれ込んだニューイングランド地方ではスコットランド人たちは3Kの誰もやりたがらない仕事にしかありつけなかったのだが、新天地を求めてカナダに矛先を変えたのが始まりだ。 比較的職もあり暮らしもそう困難ではないグラスゴーやエジンバラのローランドは違いハイランドの人々はとにかく厳しい気候風土、貧しい暮らしと先行きを案じながら、思い切って人生の「賭け」に多くのハイランダーたちが上陸を果たした広大な国。 そこでの生活は故郷のスコットランドよりも厳しかったに違いないが、同郷のもの同士が支えあい、コミュニティーを形成し、フランスやアメリカ、そして先住民のインディアンたちとの距離を保ちながらまるで民族のジグゾーパズルのようなカナダという国。 冬のその厳しさは想像を絶するだろうが、もともとがタフで陽気でフロンティア精神溢れるスコットランド人のたくましさがにじみ出ている。 この作者の凄いところは、作者自身が外出恐怖症のために自身がカナダへ出向き実際に空気を吸い、まぶたのシャッターを切り、脳裏に焼き付けたのではなくすべてを図書館で想像力を膨らませて書き上げたというから驚きである。 流れる文章からは首筋から冷気が突き刺さりそうなほどのリアルで残酷な雪の雪原が感じ取られ、一人一人のキャクターがしっかりと描き出されている。 というのも、語り手が複数であるのも面白い。 それぞれのキャラからの個別なストーリーを追うだけでも楽しいし、入植時代の歴史的光景も興味深い。 ストーリーもその個別なものからだんだんと重なり合ってゆき、ミステリーで不透明な部分を解明していく。 個々のキャラ、語り手がどの人も実に魅力的。それぞれが痛い過去を秘めながらも、極寒の中を懸命に生きている。 そして、いろんな「愛」の形も覗かせてくれる。 複数の主人公の中でも主格であるロス婦人の冷え切った夫婦関係ではあるが、無口で無愛想な夫のロスとの関係も最後には改善できそうな希望を与えてくれる。 大丈夫、彼女なら上手くやれるだろう。 読書後もかの地で小説の中で息づいたキャラクターたちのその後を想像してみたくなる実に内容の濃い作品でした。 | ||||
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