翡翠の眼
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いや、ほんと、現代中国を舞台にした探偵小説と言うだけで読む価値があるね。 他国の日常というのは、わかっているようでわからない。 特に、ごくありふれた、市井の人々の毎日の生活というのは、実はよく知らない。 観光で、ちょっとふらついたくらいでは全くわからないからね。 お隣の国中国の報道も、昨今は(特にオリンピック前後は)とっても多くって、何となく、よくわかってきている気がしていた。 でも、そうじゃないんね。 この小説は、中国の探偵小説、と言うだけで珍しく手に取る価値があるけど、それとともに、その距離的には近いがよくわかってない隣国中国の、まさに市井の人々の生活、考え、そしてここ2,30年に被った社会の変革、大きな人心の乱れを伝えてくれるという別のおもしろさもある。 結構びっくりするとともに、ああぁ、なるほどねと納得する部分もあり。 探偵小説としては、これと言った謎解きも、大きなアクションも、あんましはらはらどきどきする部分もなく、どちらか言うと地味にすぎていく。ま、大きな国家権力の怖さはあるけど、どちらか言うとドラマチックではない。 ところが、中国の日常そのものがドラマチックで、ここ2,30年の歴史が超ドラマチックで、だから、この物語そのものが、中身は地味なのに超ドラマチックになっている。 不思議な作品だが、おもしろく読めました。 | ||||
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中国・北京に生まれ天安門事件の後に渡米し、以後女流作家として活躍するウェイ・リャンの初小説で私立探偵王梅(ワンメイ)シリーズ第一弾です。まずカバーのイラストについてですが、強い中国女性をイメージしているとはいえ、こんなにいかついヒロイン像を描くのは如何なものかと思いました。個人的にはもう少しチャーミングに描いて欲しかったと思います。彼女はひとりで生きて行く気丈さを持ち合わせた強い現代女性ですが、過去に失敗した苦い恋愛経験の記憶を秘めた繊細な面も併せ持っています。本書は大筋はミステリーではありますが、ヒロインに起こる苦労に満ちた人生経験に多くの頁が費やされた家族小説・青春小説の趣きが強いと思います。 中国の国家警察である公安部を不幸な事情で辞めて北京で探偵事務所を開いた王梅(ワンメイ)に新たに持ち込まれた依頼は、消失した漢王朝の伝説である翡翠の行方を追う事だった。王梅の推理が冴え真相に肉迫するが、やがて鍵を握ると目される人物が謎の死を遂げてしまう。 本書に描かれる王一家の過去の不幸な出来事は、著者自身の実体験である幼い頃の強制収容所での体験を踏まえて書かれています。幼い頃にある事情で父を亡くして母との間がぎくしゃくし、富裕で世渡り上手な妹とも気が合わない一匹狼的な所のある梅(メイ)でしたが、母の突然の急病で駆けつけ今までの態度を悔いる心の揺れが見事に描写されています。他にも若い頃互いに愛し合いながら結ばれなかった青年との悲恋の挿話も胸にじーんと来ます。梅(メイ)の欺瞞に騙されぬ洞察力が暴いた真相は、中国の歴史の暗部に根ざした厳しい人間性を感じさせてくれる重厚な物語でした。さまざまな事情により事件は不完全で曖昧さが残る詰めの甘い結末となり少し不満ではありますが、文学的な深い味わいに免じて良しとし、人間的に経験を積み深みを増した今後の梅の更なる活躍に期待したいと思います。 | ||||
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