謀殺のメッセージ
※タグの編集はログイン後行えます
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
謀殺のメッセージの総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
江戸川乱歩の従姉妹の子という著者は、外務省に勤務していた時代から、何冊かの小説を書いていて、乱歩の生前にも4冊を上梓している。親戚の子の作品を乱歩が読んだのかは不明。 ただし本作品が書かれたのは、乱歩の死後20年も経ってからで、著者はすでに外務省を退官しており、その経験を活かした作品となっている。著者は実際にラオス大使館に勤務したこともあるらしい。 大使館が舞台ということで、わたしは、『古畑任三郎』の松本幸四郎の会を思い出したが、<ネタばれ反転>三谷幸喜が本作品を参考にした――というのは、考えすぎか。 視点人物は椎名の他に、新聞記者の山田と大使館員の村瀬が務めている。 誰が主役かと考えてみると、まず登場したのは椎名だが、視点を担当した回数の多さで言うと、村瀬かもしれない。 本作品は広義の推理小説ではあろうが、推理小説風の味付けをした謀略小説というのがより正しい。 謎のフランス人が大使館内で発見されるというのは魅力的な謎だが、多少のwhyやhowは終盤まで持ち越されるものの、肝心のwhoは早々と判明してしまい盛り上がらない。 また、事件の原因には8年前の辻政信失踪事件が絡んでおり、そもそも椎名の目的はその解明である。 むしろわたしの興味もそちらが主だったから、辻政信失踪事件は十分リーダビリティとなる力があると思うが、特に新説が提示されるでもなく、<ネタばれ反転>殺されていた…… 関係者だけに、大使館内の描写はかなり正しいのだろうが、推理作家がたしなんでおくべき凶器の記述はめちゃめちゃだし。 終盤に山田がライフルで撃たれるが、心臓をちょいそれたから一命を取りとめたんだと。 拳銃と間違えてないか? 音速以下の拳銃弾ならともかく、その2倍以上の速度のライフル弾で撃たれた場合、その衝撃は波となって全身に渡り、被弾が手足であっても死亡率は高いそうだ。心臓のすぐ脇て…… 全登場人物のすべてにキャラの魅力が不足しているのだが、毀誉褒貶の激しい辻政信に対しても、スタンド・プレーで目立ちたかっただけとバッサリ。 辻政信の事には疎いので、著者の指摘に対して否定はできないが、私自身は、戦中の数々の失策に対する懺悔が、大東亜戦争で本来の戦争目的であった、黄色人による東亜の建て直しに殉じる方向に向かわせたのでは、なんて思っていた。甘いかな…… ただし著者の一連の記述の方向で、『乱歩おじさん』を読んだ時に抱いた懸念が、確信へと変わった。 この人、完全にサヨク思想に染まってる。 戦後GHQ史観で歴史を学んだ子供たちが、自虐の歴史観を持つようになったのはある意味自然な流れだが、著者は戦中にはすでに社会人として、ベトナムで働いていた。 そんな大人が、サヨク思想に染まるとは情けない…… 実は読み始めてすぐにきな臭くなったのよね。 椎名はT大仏文科の学生で、山田は毎朝新聞の記者。いやもう絶対でしょ。 本作品の事件、辻政信失踪事件と大使館内仏人死体遺棄事件の根は一つのもので、米仏日の政治的な謀略が絡んでいる。 アメリカ、フランス、日本。 ことインドシナが舞台の謀略の名において、重要なプレーヤーを幾つか忘れてないか? 事件の年代は1969年で、舞台はラオス。戦争真っただ中のベトナムの隣。 ソ連とチャイナはどーした? 見事なほどに、彼の国への言及がゼロである。 米国と北ベトナム共産党の思惑がどーたらという記述はある。 北ベトナムの背後には、彼らがいるだろーが。 もちろん著者がラオス大使館に勤めていた時代には、中ソ共産党の内部情報などはそうそう出てこなかっただろう。 しかしその時代の大使館を舞台にして謀略小説を書こうかというのに、あちらさんがまったく関与しないというのは、目ぇ開いてんのかと小一時間問い詰めたい。 いや、中露が関与しない謀略というのも、それはあるだろう。 しかし小説としてその時代を選びながら、中露の関与を必要だと感じなかったのなら、ナチュラルに脳天気なヒダリの人だったとしか思えない。 ちなみに、辻政信失踪事件をネットで漁ってみると、中国共産党がバッチリ関与していたと、米の公文書に記載されているようだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
週刊文春1986年 国内6位 毎朝新聞の記者 山田と、T大の学生 椎名は、ラオス行きに際して、1961年行方不明となった辻政信の調査協力を約束する。椎名は、恋人のラオス大使 長島の娘 寿美とともに、大使館に寄寓して、当時の関係者の聞き取りを開始する。その最中、大使館の一室で、フランス人の絞殺死体が発見される。 ・・・ 1968年当時の政情不安定なインドシナを舞台として、実在の人物の失踪事件をからめた国際謀略小説となっている。作者の大使館勤務の経験が、いかんなく発揮され、街の息づかいが聞こえるよなリアル感がある。辻政信を知らなかったし、当時の国際情勢にも疎いんだが、ノンフィクションといわれても違和感はなかっただろう。ストーリーと、筆致がマッチしていて、無駄を廃した硬質な印象を受ける。ページ数は多くはないけれど、重量感たっぷり。 国益を重視した外交ってこうなんだ。う〜ん お勉強させていただきました。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 2件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|