冷血の彼方
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チェコから分離したスロヴァキアの女性警察官、ヤナ・マティノヴァを主人公にしたミステリシリーズの第一弾です。 社会主義国家から転向したとはいえ、スロヴァキアではまだまだ党による支配と反政府主義者には秘密警察を通じてありとあらゆる手段で弾圧と粛正が与えられる社会です。そういう世界であるが故に、主人公のヤナも、元旦那でバレエダンサーだったダノや、娘のカトカとの間にとても厳しい確執と別れを経ており、国をまたぐ人身売買ネットワークの捜査というミステリとしての本編と同じ比重で、その悲しい家族の軌跡が描かれています。 正直、暗くて重いし、ひたすら人が殺され続けます。 それも結構残酷な方法で、あっけなく殺されていきますので、このあたりは好みが別れるかなぁと思います。 あらすじとしては、これらの事件には、犯罪組織の王であるコパという人物の影が最初からちらつきます。コパはいろいろな国にまたがる犯罪組織のボスで不可侵の存在とされていますが、彼が死んだのではないか、という噂が犯罪組織内部の内紛も引き起こして事態はだんだんコントロールを失っていきます。そんな中、国をまたいでの捜査権をもたないヤナは、直接捜査の指揮を取れるわけもなく、いろいろな制約のある中でほぼ個人的に事件を追いかけ続けます。 最初はウクライナ、次いでEUの首都的なストラスブール、そして南のニースへと。 捜査範囲は広がり、死体も増えていき、いつしか犯人を追いかけているのか犯人に追いかけられているのかわからない状態に陥りつつもヤナは少しずつ事件の核心へと迫ります。そして、その核心はまた新たなシリーズ展開に繋がるエンディングでもありました。読み応えは十分ながら、腰を据えて読まないとちよっとつらい部分もありで、次作までは評価が未確定な一冊です。 | ||||
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チェコから分離したスロヴァキアの女性警察官、ヤナ・マティノヴァを主人公にしたミステリシリーズの第一弾です。 社会主義国家から転向したとはいえ、スロヴァキアではまだまだ党による支配と反政府主義者には秘密警察を通じてありとあらゆる手段で弾圧と粛正が与えられる社会です。そういう世界であるが故に、主人公のヤナも、元旦那でバレエダンサーだったダノや、娘のカトカとの間にとても厳しい確執と別れを経ており、国をまたぐ人身売買ネットワークの捜査というミステリとしての本編と同じ比重で、その悲しい家族の軌跡が描かれています。 正直、暗くて重いし、ひたすら人が殺され続けます。 それも結構残酷な方法で、あっけなく殺されていきますので、このあたりは好みが別れるかなぁと思います。 あらすじとしては、これらの事件には、犯罪組織の王であるコパという人物の影が最初からちらつきます。コパはいろいろな国にまたがる犯罪組織のボスで不可侵の存在とされていますが、彼が死んだのではないか、という噂が犯罪組織内部の内紛も引き起こして事態はだんだんコントロールを失っていきます。そんな中、国をまたいでの捜査権をもたないヤナは、直接捜査の指揮を取れるわけもなく、いろいろな制約のある中でほぼ個人的に事件を追いかけ続けます。 最初はウクライナ、次いでEUの首都的なストラスブール、そして南のニースへと。 捜査範囲は広がり、死体も増えていき、いつしか犯人を追いかけているのか犯人に追いかけられているのかわからない状態に陥りつつもヤナは少しずつ事件の核心へと迫ります。そして、その核心はまた新たなシリーズ展開に繋がるエンディングでもありました。読み応えは十分ながら、腰を据えて読まないとちよっとつらい部分もありで、次作までは評価が未確定な一冊です。 | ||||
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スロヴァキアの首都ブラティスラバの女性警官を主人公とする国際ミステリー。 人身売買ネットワークを追うミステリー部分は、各国警官のやりとりが興味深かった。そんなやりとりから、一般人とは異なるメンタリティを持つ警官は、国の違いはあれど、共通する部分があるのを感じる。 ミステリーとしては、多少あらがある。登場人物が多くて、読むのに骨が折れる。どんどん人が死ぬ。人物像に類型的な部分もある。それでも、この本には物語性がある。それを支えているのが、かつての共産圏であるスロヴァキアという設定だと思う。 資本主義国家となったいまのスロヴァキアでも、住んでいる人たちは連続している。かつてのシステムを引きずり、慣習を引きずり、記憶や傷を背負っている。有能でタフな警官ヤナにも、こそ、悲惨な記憶がある。それだけでも一冊になるほど中身のある過去が現在と交互に語られ、最後になって重なってくる。最初はただリリカルに感じられた過去が現在に引き継がれ、鮮烈さをもついまの痛みとなって炸裂する。ぼんやりとしたセピア色の遠景が、いっきにフルカラーとなって焦点を結ぶ。 それでもヤナには有能な警官であることしかできない。 ヘレン・ミレンの『第一容疑者』が好きな方は、是非! | ||||
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スロヴァキアの首都ブラティスラバの女性警官を主人公とする国際ミステリー。 人身売買ネットワークを追うミステリー部分は、各国警官のやりとりが興味深かった。そんなやりとりから、一般人とは異なるメンタリティを持つ警官は、国の違いはあれど、共通する部分があるのを感じる。 ミステリーとしては、多少あらがある。登場人物が多くて、読むのに骨が折れる。どんどん人が死ぬ。人物像に類型的な部分もある。それでも、この本には物語性がある。それを支えているのが、かつての共産圏であるスロヴァキアという設定だと思う。 資本主義国家となったいまのスロヴァキアでも、住んでいる人たちは連続している。かつてのシステムを引きずり、慣習を引きずり、記憶や傷を背負っている。有能でタフな警官ヤナにも、こそ、悲惨な記憶がある。それだけでも一冊になるほど中身のある過去が現在と交互に語られ、最後になって重なってくる。最初はただリリカルに感じられた過去が現在に引き継がれ、鮮烈さをもついまの痛みとなって炸裂する。ぼんやりとしたセピア色の遠景が、いっきにフルカラーとなって焦点を結ぶ。 それでもヤナには有能な警官であることしかできない。 ヘレン・ミレンの『第一容疑者』が好きな方は、是非! | ||||
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アメリカで弁護士、政府改革のコンサルタントという顔を持ち、映画やTV、舞台の脚本も手がけてきた、マイケル・ジェネリンが、’08年に発表した、自身も3年居住した、本書のヒロインのヤナ(ヤンカ)・マティノヴァが刑事警察隊の警部として籍を置くスロヴァキアを冒頭の舞台とした、小説デビュー作。 凍てつく冬の夜、首都ブラティスラヴァでヴァンに乗車していた男性1人と女性6人全員が死亡する交通事故が発生。現場に駆けつけたヤナは死者の中に顔見知りの売春婦を見つける。ポン引きと思われる運転手の男のアパートを捜索すると、内容が暗号化された帳簿があった。ヴァンで死亡した者たちの大半がウクライナ人であることや、時を経ずしてウクライナ出身の老女の他殺死体がドナウ河畔で発見されたことから、ヤナは謎を解くため現地へ強硬出張する。そこで‘コバ’と呼ばれる伝説的な殺し屋の存在を知るのだった。 ウクライナから、フランスのストラスブール、そしてニースへと舞台を広げ、ヤナの行く先々で、殺人事件が頻発する。しかもストーリーの終盤、あと30ページ少々というところまでそれは続く。果たして帳簿の謎は、すべてが‘コバ’の仕業なのか。三人称多視点の短い章立てで描かれる物語は、ハイテンポに、複数の国で展開される広域犯罪を描いてゆく。 そして、もうひとつ忘れてはならないのが、メインのストーリーに挿まれるヤナの、現在も糸を引く、かつて共産主義体制化で抑圧された耐え難い家族の悲劇である。夫を、娘を、一時期は職をも失ったヤナの悲嘆が目前の事件にも影をさす。同時にそれは彼女と同行して捜査の協力をするロシア人の若き警官レヴィティンにもいえる。 本書は、ミステリーとしては、読むものを混乱させてしまうほどあまりにも事件や死人が多く、結末で謎は一応解明されるが、いささか消化不良の感は否めない。むしろ、あえて東欧の国を選んで、犯罪小説の体裁をとりつつ、重い過去を背負った熟年女性警部ヤナをフィーチャーした作品という印象が強い。 | ||||
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