ライ麦畑の迷路を抜けて
評判
ライ麦畑の迷路を抜けての評価:
4.00/5点 レビュー 1件。 - ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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この場面にいたるまでの人生を、俗物を嫌うサリンジャーとは逆に、自分に正直になることが唯一読者につながる道であると信じて、彼女は詳細に記す。なぜこの女性にサリンジャーが惹かれたのか。この才気のなかに読者もおぼろげながら見えてくるはずだ。しかし、読みおわってみると、やはりサリンジャーの素顔がもっとも印象に残る。
本の出版後、彼女は子供の学費稼ぎのために、サリンジャーから受けとったラヴレターをサザビーズのオークションに売り出す(なかなかやる)。奇特な金持ちが1900万円でそれを買い取り、サリンジャーに返却する。またこの本が出版されたのち、同じように彼と文通をしていたという女性が三人もあらわれる。
サリンジャーの小説が心の傷痕を扱っていることを知っている読者なら、この本を読んで幻滅することはないと思う。また、そう思いたい。「エズメに捧ぐ」のなかの利発な少女の姿を、現実のなかでいまだに求めつづけている彼に、いたましさを感じることはあってもだ。汚辱を愛するといったあの少女は、サリンジャーにとって永遠の少女でもあったのだろう。作家にとって作品が地上の花であるなら、ここに描かれているのは地下の根のようなものだ。この根の猛々しさは作家の業といってもいい。やはりサリンジャーは一筋縄ではいかない。サリンジャーのファンは多いと思うが、花だけではなく、根の部分もぜひ一読してほしい。