ライ麦畑の迷路を抜けて
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あらすじ
大学の文学部の教師の父親と、その優秀な教え子であった母親の次女として生まれた著者は、教育熱心な母親の指導のもと、18歳にして「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」に「十八歳の自叙伝」を発表する。全国から寄せられたファン・レターの中に、すでに世捨て人のように隠棲していたJ.D.サリンジャーからの一通があった。二人のあいだに文通が始まり、お互いにお互いを渇望するようになる。イェール大学に入学した彼女は、やがて大学を捨て、当時53歳でホメオパシーと自然食を信奉するサリンジャーとの同棲生活を始める。彼女にとって彼は神のような存在になったが…。知られざるサリンジャー像と濃密な母娘関係に彩られた女流作家の回想。(「BOOK」データベースより)
外部リンク
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評判
ライ麦畑の迷路を抜けての評価:
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ライ麦畑の迷路を抜けての総合評価:
8.00/10点 レビュー 1件。
感想一覧
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この場面にいたるまでの人生を、俗物を嫌うサリンジャーとは逆に、自分に正直になることが唯一読者につながる道であると信じて、彼女は詳細に記す。なぜこの女性にサリンジャーが惹かれたのか。この才気のなかに読者もおぼろげながら見えてくるはずだ。しかし、読みおわってみると、やはりサリンジャーの素顔がもっとも印象に残る。
本の出版後、彼女は子供の学費稼ぎのために、サリンジャーから受けとったラヴレターをサザビーズのオークションに売り出す(なかなかやる)。奇特な金持ちが1900万円でそれを買い取り、サリンジャーに返却する。またこの本が出版されたのち、同じように彼と文通をしていたという女性が三人もあらわれる。
サリンジャーの小説が心の傷痕を扱っていることを知っている読者なら、この本を読んで幻滅することはないと思う。また、そう思いたい。「エズメに捧ぐ」のなかの利発な少女の姿を、現実のなかでいまだに求めつづけている彼に、いたましさを感じることはあってもだ。汚辱を愛するといったあの少女は、サリンジャーにとって永遠の少女でもあったのだろう。作家にとって作品が地上の花であるなら、ここに描かれているのは地下の根のようなものだ。この根の猛々しさは作家の業といってもいい。やはりサリンジャーは一筋縄ではいかない。サリンジャーのファンは多いと思うが、花だけではなく、根の部分もぜひ一読してほしい。