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No.1
稀覯人の不思議
二階堂黎人
「手塚治虫」+「古本収集」×本格ミステリな珍品
本作品は絶世の美青年にして多趣味な――オタクと言って全く差し支えない――変人、水乃紗杜瑠(みずの さとる)シリーズです。
中でも、そのまんま土曜ワイド劇場にもって来れそうな、旅情ミステリ色満載の社会人編に比べ、マニアックな水乃紗杜瑠のイロがよく出ている学生編にあたるこの作品なのですが……どちらかというと、水乃紗杜瑠ではなく二階堂黎人先生のマニアックぷりが炸裂している感があります。
なんだかミステリと言うよりも、手塚治虫マニア入門書を読んでいる感覚でした。
でも、読み終わったあとにあらためて見返してみると、やはりこの作品は本格ミステリをこよなく愛する二階堂先生の作品です。
小さな矛盾や、実現可能性などを考えると首をひねるところもあるのですが、数多くの謎に細かい叙述トリック的な描写も使いながら、うまく読者を騙しつつも、読者になぜこれがわからなかったんだろうと思わせるくらいシンプルかつクリアな謎解き。
妙な大トリックが大好きなイメージの強い二階堂先生だけに、この洗練された謎解きも、一種のしてやられた感があって良かったです。
読み終わってからじわじわ味の出てくる良作でした。