水戸光圀公の影警護から一転、再び流浪の身となった大安寺一松。

元禄五年（1692）冬。大安寺一松は水戸藩元藩主・光圀より影警護の依頼を受け、船旅に同道する。

木剣で叩き割られた頭蓋。だが、そこに鋭利な刃物でスパッと斬られたような痕があった。

「おれは侍になる！」父を殺され、江戸を放逐された中間の倅・一松は、3年間の流浪の果て、大安寺一松弾正と名を変えて江戸に舞い戻ってきた。

江戸・三十間堀の小さな町道場が、怪しい証文を盾にした男たちから狙われている。