闇の穴 (新潮文庫)
発行日:1985年09月27日
出版社:新潮社
ページ数:260P
あらすじ
この短編集のあちこちに、この私の風景が点在している。――著者別れた亭主が子と消えた……。女の心の綾を細やかにたどる表題作ほか、哀歓あふれる絶品七編。わたしを棄てた男が帰ってきた。大江戸の裏店でそっとともした灯を吹き消すような暗い顔。すさんだ瞳が、からんだ糸をひくように、わたしの心を闇の穴へとひきずりこむ――。ゆらめく女の心を円熟の筆に捉えた表題作。ほかに、殺人現場を目撃したため、恐怖心から失語症にかかってしまった子供を抱えて働く寡婦の薄幸な生を描く「閉ざされた口」等、時代小説短編の絶品七編を収める。